元高校教員、現サラリーマン技術者のブログ

学校での体験や職場が変わる中で感じたこと、今の仕事で感じたことを中心に書いていきます。

教員を辞めてから⑨

2回目の教師として配属されたのは、僻地にある小規模校でした。

1回目の赴任校とは違いすぎてカルチャーショックを受けました。

まず生徒数が少ない。

びっくりするくらいの少なさです。

そして学力がとても低い(というより知的に問題がある)。

高校理科の内容はほとんど扱えなかったです。

コマ数も少なかった。

一回目の教師で経験した大規模な進学校からすると、同じ職業かと疑うくらいでした。

 

私の中に、これは選択を間違ったんじゃなかったか‥という気持ちが芽生えてきました。

 

とはいえ公立校は転勤があります。

しばらく待っていればこの学校から出ます。

そのときまで待てばいいです。

 

ところが、それではだめだと思うようになりました。

教師という仕事への適性を疑うようになっていたからです。

 

進学校と違い、生徒とは受験勉強を通じて繋がれません。

何というか、人間対人間でつながらないといけません。

生徒は理科の教師として私を見るのではなく、教師、人間としての私を見てきます。

 

私は自然科学を仕事にしたいと思っていました。

自然科学が私を変えてくれたからです。

自然科学が今の私を作ってくれました。

だから私から自然科学を抜くと、なんの特徴もありません。

ところがその学校では理科の授業どころではないので、これまで積み上げてきた自然科学のあれやこれやがほとんど必要ありません。

当然、自然科学を通しての自分以外で勝負しないといけない。

否応なしに、教師として、人間としての自分、を突きつけられました。

 

私には何もありませんでした。

生徒指導力などのスキル面は、それなりにまだ若いし、今後努力して身につければいいです。

一番驚いたことは、情熱がないことでした。

生徒を教育しようとか、生徒のために自分の人間力だとか指導力を上げようとか。

そういった熱が湧いてこない。

昔は間違いなくありました。

今ないということは、自分が変わったか、生徒が変わったからか、です。

前者だと思いました。

なぜなら、この4−5年で根本的にあまり人と関わることに喜びを感じない自分となっていたからです。

いや、元々そういう気はあって、それが強まって認知するまでになったということです。

人が嫌なら生徒がどんな層でも無理です。

教育は人とかかわらずにはできないからです。


そういうわけで、結局技術者にもどろうと転職活動を進めることになりました。

 

 

私はこのとき教師に戻ったことは本当に間違ったなと感じています。

自分の人生経験としてはよかったです。

自分はどういう人間で何に向いてないのかがわかったので。

ただ、キャリアとしては最悪なものになりました。

 

今の私からすると、情熱があろうがなかろうが安定していて収入も大きいのだから家族のために辞めるなとも思います。

考えようによっては割り切り方もあります。

ただ、続けても後悔はしていただろうなと思います。

人が嫌な以上続けていても毎日地獄です。

だから辞めたことに後悔はありません。